鹿はトリカブトを食べるか?
Since 2009/10/28
Last updated on 2010/04/25 


 JR相生駅北側にある相生墓園は相生市が管理する公設墓地で、環境や眺望は素晴らしいのですが、欠点がひとつあります。

 それは、野生の鹿が夜な夜な現れて、お墓に供えられた花を食べてしまうということ。置きみやげの糞も困りものです。裏山との境界に柵を設けるなどの対策が行われていますが、未だ充分な効果は出ていません。

 相生墓園の鹿は菊やユリの花を食べるけれども、シキミは食べないということが広く知られるようになり、近年はシキミだけを供える墓参者が増えています。

 鹿がシキミを食べない理由としては、「動物の本能で、シキミに毒があることを知っているからだ」と信じられています。しかし、食べないのはシキミだけではありません。毒のないヒサカキ(通称アオラ)も食べません。菊も茎などは食べ残しています。それらに気付くと、硬い葉だから食べないのではないか?とか、花が無いから食べないだけではないか?などの疑問が湧きます。

 この疑問を解く方法は無いかと思案して、ひとつ思いつきました。私が栽培しているトリカブトの花が今ちょうど満開なので、それを、相生墓園にある我が家の墓地に供えて、鹿が食べるかどうか試してみることです。毒性判別能力があれば、トリカブトは食べないはずです。

 2009年10月27日早速実行。午後5時、トリカブトの切り花を我が家の墓地の左右の花筒に5本づつ、計10本供えました。好都合なことに、すぐお隣のお墓の花筒には真新しい菊花とシキミが入っていました。これなら、うちのトリカブトが無傷でも、お隣の菊の状態を見れば、鹿が来たことが確認できます。

 翌朝午前9時、様子を見に行きました。トリカブトは葉っぱと茎を残して、花だけが全部食べられていました(写真参照)。お隣の菊も、花だけが無くなっていました。シキミは無傷でした。

 この結果を見ると、鹿がシキミを食べないのはシキミに「花がない」からであって、植物の毒性を見抜く本能があるという俗説は間違いではないか?、と思えてきます。

 しかし、トリカブトは高山植物で相生市内には野生していません。シキミは野生しています。相生墓園にやってくる鹿が、シキミの毒性は知っていても、トリカブトのことは知らない可能性があります。鹿にはトリカブトの毒は効かないとか、私の栽培しているモンゴル産のトリカブトには毒がないというような可能性も、完全否定は出来ません(確認していないので)。

 そこでまた思いつきました。シキミにも花は咲きます。来年の春、花の付いたシキミを供えて、鹿が花だけを食べるかどうかを実験してみたいと考えています。

 今回トリカブトの花を食べた鹿がその後どうなったのか、それも気になります。

 ◆ご意見等はこちらの掲示板へ →とんび岩の掲示板

 

 

【2010/03/07 追記】

■ 鹿はアセビ(馬酔木)を食べるか?

 実家の庭でアセビの花が咲いたので、それを鹿が食べるかどうか試してみました。アセビも有毒植物で、体の大きな馬でも中毒するといわれています(アセビの詳細はこちら → アセビ

 2月27日午後5時

 わが家の墓地の花筒に下の写真のようにアセビをセット。以前からあるシキミはまだ生気があるので残して、その前面に花の付いたアセビの小枝を左右に4本ずつ(計8本)追加。隣の墓は供花なし。

 3月7日午後3時

 アセビの花が食べられた形跡はまったく無い。その間、お隣のお墓では3月1日に供えられた菊の花が一夜で食べ尽くされ、わが家の墓地の周辺では鹿の新しい糞や足跡が確認された。

 この結果から、鹿はアセビのを食べないものと考えられます。アセビはトリカブトと違って、当地(相生市)周辺にたくさん自生しています。

 

【2010/04/25 追記】

■ 鹿はシキミの花を食べるか?

 3月16日

 近所の畑のシキミに花が咲いたので、持ち主に頼んで枝をいただき、お墓に供えてみました。下の写真のように、葉は取り除いて花だけにした小枝を、鹿が食べやすいように花立ての前面に挿しました。

 

 3月21日

 5日間観察したが、鹿が食べた気配はまったくなし。シキミの花が傷んできたので交換した。お彼岸なので小菊の花を買い、庭のコブシと一緒に次の写真のように供えた。周囲を見ると、さすがお彼岸で、1000基以上あるお墓の大半に真新しいお花が供えられていた。

 

 3月25日

 3月21日から3日間は変化がなかったが、4日目に菊の花が一部食べられていた。コブシとシキミの花は無傷だった。お彼岸は、鹿にとっては盆と正月が一緒に来たような豪華パーティで、飽食気味だったのだろうと推測した。そして、食べもの(供花)が減るまでしばらく、このままで様子を見ることにした。

 

 

 4月7日

 菊の花だけが食べ尽くされ、コブシとシキミの花はそのまましおれて残っていた。近隣のお墓では、スイセンとレンギョウの花が食べられずに残っていた。

 レンギョウが食べられていないことから、木の花は食べないのかもしれないと考え、今回はシキミの花と一緒にミツバツツジの花を供えてみた。周囲のほとんどのお墓に菊花は無かったが、1基だけ、約10b離れたお墓に真新しい菊の花があったので、それを鹿が来た目印にすることにした。

 

 

 4月8日

 約10b離れたお墓の菊花は食べられていたが、わが家のお墓のツツジとシキミの花に異常はなかった。これまでの結果から、鹿はシキミについては葉だけでなく花も食べないと思われる。食べない理由としては「毒性」がまず考えられるが、有毒とは思えないツツジも食べていないので、ほかの要因があるかもしれない。たとえば木の花は食べないなど。

■ カキツバタは食べるがショウブは食べない?

 2010年3月7日の神戸新聞に、兵庫の高地に自生する県天然記念物のカキツバタ群落が、鹿の食害で絶滅の危機にひんしているという趣旨の記事があった。それによると、鹿に食べられたカキツバタのあとには、鹿が食べないショウブが増殖しているという。(同記事の全文はこちら → シカの食害 植物群落危機 兵庫県北部の高地

 カキツバタは食べるが(よく似た)ショウブは食べないという理由は何だろう。ショウブには独特の香気があるので、あの匂いが嫌われるのだろうか。それとも葉っぱが硬いということだろうか?。

■ トリカブトの毒性について

 ある人から「トリカブトの毒は根(塊根)だけで、花には毒は無いのではないか」とのご意見をいただいた。しかし難波恒雄氏は、週刊朝日百科「世界の植物69」の中で、「毒成分は塊根以外に、茎や葉、花、花粉にも含まれており、トリカブトのハチミツで中毒した例もある」と書いておられる。

 また、トリカブトの若葉を山菜などと間違えて食べて死亡した事例は多く、「毒草の雑学(一戸良行著)」には1932年北海道の銭函での死亡事故の状況が、「毒草を食べてみた(植松黎著)」には1983年山形県村山市で亡くなったSさんの様子が詳しく書いてある。葉にも相当な毒性があるようだ。

 ただし前出の「毒草を食べてみた」には次のようにも書いてある。「すべてのトリカブトが同じ質と量の毒性を持っているわけではない。産地や生育状況、季節によって、同じ種類でも毒の割合が違ってくる。(中略)ヤマトリカブトは毒性が強いといわれているが、同じヤマトリカブトでも、東京高尾山のものは毒成分がほとんど無いものがある」。

 相生墓園の鹿が食べたトリカブトのに、毒成分が含まれていなかった可能性はあるが、含まれていた可能性もあると思う。

■ 今後の方向

 これまでに鹿の食性を確認した有毒植物の花は、トリカブト、アセビ、シキミ、スイセンの4種。このうちトリカブトだけを食べた。これは例外的な結果のような気がする。栽培中のトリカブトは今年も順調に育っているので、秋に花が咲いたら繰り返し確認実験をしたい。

 トリカブトの花の毒性については、実行可能な検証方法を探したい。

 木に咲く花のうちコブシとレンギョウは漢方薬に用いられるので、何か鹿が嫌う成分(臭気?)が含まれている可能性が考えられるが、ツツジにそのような成分が含まれているとは思えない。また相生墓園には、市木のツバキがたくさん植栽されているが、それらの花も鹿に食い荒らされた様子はない。ツツジやツバキの花が何故食べられないのかも調べてみたい。

 「墓地を遊びに使うのは不謹慎」とのご意見を頂戴する可能性があるが、それについては、「動機は何であれ、墓参りに行かないよりは、行った方がご先祖も喜ぶはずだ」と考え、気にしないことにしたい。


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